俺の名前は、狐乃 拓己(きつの たくみ)25歳。埼玉県立の“門外(もんがい)高校”の非常勤講師をしている。毎年一回の、教員採用試験をもう2度受けて一次さえ通れないでいる。そういして来年も受ける。その間、くいぶちを繋ぐためにこうして臨時に空きのある学校で非常勤ということで働いているのだが…。まぁそこらのバイトよりも時間給は良いし、手当てもでる。俺にとっては恩の字だのだ。

そんなごく普通の社会人をしている俺には…実は、人には言えない“秘密”が一つだけある。これだけはどうしてもバレてはならない。だが、厄介なことに、この“秘密”は俺自身ではどうする事も出来ないという理不尽なことなのだ。秘密とは……

呪いの事だ。呪いは言霊にこう記されている。

「―この呪い、化の者を夜の闇の中に引き止める災いとなれ―」

……この時代に、呪いって何だよ!とツッコミたくなる俺の気持ちをどうか分かって欲しい。
信じてもらえないかもしれないが、俺が物心着いた頃から聞かされていた話だ。
これをみなさんに分かってもらえるようにかみ砕いて説明すると…

俺たち狐乃家の人間は、日が沈むと今まで殺してきた狐に身体を奪われ人間として生きていくことを許されなくなるということなのだ。俺は、日が沈むと狐の姿になる。本家には本物の狐の姿になるものもいるが俺は分家のため、中途半端に耳と尻尾、嗅覚と視覚、そして聴覚が異常なほどに研ぎ澄まされる。
こんなかっこ、はっきりいって悪趣味だ。当然、彼女が出来ても夜には会えない。学生の時はそれでも何とかなったが、今はとてもとても絶えられない。俺は…彼女が居ないまま今年も過ごしていくのか……(遠い目)

おっと、話が反れてしまったが、そもそも“呪い”とは何なのか・・・。
それは「狐乃狩(きつのがり)」に遡る。
「狐乃狩」という習性が俺も生まれる物凄い昔に、俺の先祖が生まれたと言う山里では行われていたという。その習性はある先祖の代で絶えたが、その呪いは未だに狐乃家(おれら)の身体を蝕んでいる。
「狐乃狩」とはその名のとおり、狐を狩る行為を言う。その村では狐は人を騙す吉凶として恐れられており、年に何回も神隠しに遭う者が後をたたなかった。俺の先祖が、「狩る者(しずめびと)」となり「狐乃狩」を行うようになってから神隠しは無くなったと言われている。
 が、その結果、俺らの先祖は物の怪の呪いを受け未だにそれが続いているのだ。
 そんな俺が、よりによって勤務してすぐの高校でこの秘密がバレテしまうと言う最も恐れていた事が起きたことから、この事件は幕をあけるのだった・・・。
そう、もうあいつらは俺にとって事件としか言いようのない連中だ!!!くそぉ!!!!(涙)
                                                        つづく

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